みなさん、こんにちは！私たちの身近な問題である「フードロス」。この言葉を耳にする機会も増えましたが、具体的にフードロスとは何か、その意味や定義を正しく理解しているでしょうか？
フードロスとは何か、その意味や定義を改めて知ることは、日々の生活を見直すきっかけになるかもしれません。この記事では、フードロスの現状や深刻な問題点を分かりやすく解説するとともに、私たち一人ひとりが今日から簡単に取り組める対策を具体的に紹介します。家庭での小さな工夫から、買い物時の賢い選択、さらには企業や自治体の先進的な取り組みまで、幅広く掘り下げていきます。
フードロスは、環境への負荷や経済的な損失といった大きな課題を伴いますが、みんなで意識を変え、行動することで解決に近づける問題です。この記事を読めば、フードロスについて楽しく学びながら、毎日の食生活をより豊かに、そして無駄なく過ごすためのヒントがきっと見つかるはずです。さあ、一緒にフードロス問題の解決に向けて一歩踏み出しましょう！
この記事のポイント
- フードロスの定義：本来食べられるにも関わらず廃棄される食品のこと
- 日本のフードロスの現状：年間約523万トン（令和3年度推計値）、国民1人当たり毎日おにぎり約1個分を廃棄
- フードロスの主な発生源：事業系（食品製造業、外食産業など）と家庭系に大別される
- フードロス削減の具体的な方法：買い物前の計画、適切な保存方法の実践、食べ切る意識など
引用：食品ロスとは：農林水産省
フードロスとは何か？その意味と定義を分かりやすく解説
食品廃棄の現状と深刻な問題点
食べ物を無駄にしてしまうことに、罪悪感を覚える方は少なくないでしょう。日本では、驚くほど多くの食料が日々廃棄されています。
農林水産省及び環境省の令和3年度（2021年度）の推計によると、日本国内のフードロス量は年間523万トンにものぼります。この量は、毎日大型トラック約1430台分の食料を廃棄している計算です。この衝撃的な数字は、国連世界食糧計画（WFP）が年間に行う食料援助量（2021年実績で約480万トン）の約1.1倍にも相当します。つまり、日本で捨てられている食品だけで、世界の飢餓に苦しむ多くの人々を救える可能性があるのです。
国民一人当たりに換算すると、毎日おにぎり1個分（約114グラム）、年間では約42キログラムもの食品を捨てていることになります。これは、日本人が1年間に消費するお米の量（1人当たり年間約50.8キログラム、令和4年度）の約83%に匹敵します。これほど大量の食べ物を無駄にしている現状は、非常にもったいないと言わざるを得ません。
食品廃棄が引き起こす問題は、単に「もったいない」というだけでなく、多岐にわたります。
| 問題点 | 説明 |
|---|---|
| 資源の無駄遣い | 食料生産に必要な水、土地、肥料、燃料といった貴重な資源が無駄になります。例えば、1kgの牛肉を生産するには約20,000リットルの水が必要です。 |
| 環境への悪影響 | 廃棄された食品の多くは焼却処理され、その際にCO2を排出します。また、埋め立てられた場合はメタンガスを発生させ、地球温暖化を加速させる一因となります。 |
| 経済的損失 | 食品の生産から加工、流通、そして廃棄に至るまでのコストが無駄になり、その負担は巡り巡って消費者が負うことになります。 |
| 倫理的な問題 | 世界には約7億8300万人（2022年時点、国連報告）もの人々が飢餓に苦しんでいる一方で、先進国を中心に大量の食料が廃棄されているという倫理的なジレンマがあります。 |
これらの問題を解決するためには、私たち一人ひとりがフードロスについて深く理解し、日々の行動を見直す必要があります。例えば、買い物は必要な分だけ購入する、調理は食べきれる量を意識する、外食時には注文量を調整するなど、小さな心がけから始めることができます。フードロスが引き起こす様々な問題点について、さらに詳しく知りたい方はフードロス問題点を徹底解説！食品ロス削減のための具体策もぜひ参考にしてみてください。
フードロスの発生源と主な原因
では、これほど大量のフードロスは一体どこで発生しているのでしょうか？フードロスの発生源は、大きく「事業系フードロス」と「家庭系フードロス」の2つに分けられます。
農林水産省の令和3年度の推計によると、日本のフードロス量523万トンの内訳は、事業系が279万トン（約53%）、家庭系が244万トン（約47%）となっています。
まず、事業系フードロスの主な発生場所と原因を見ていきましょう。
食品製造業：事業系全体の約45%（約125万トン）
- 原因：製造過程での規格外品（形崩れ、サイズ違いなど）の発生、印刷ミス、需要予測のずれによる過剰生産など。
外食産業：事業系全体の約29%（約80万トン）
- 原因：客の食べ残し、仕込みすぎ、予約キャンセルによる食材の余剰など。
特筆すべき点として、新型コロナウイルスの影響で外食産業からのフードロス量は、2019年度と比較して約2割減少したというデータもあります。これは、飲食店の営業時間短縮や宴会の減少などが影響したと考えられます。
次に、私たちの身近なところで発生している家庭系フードロスの原因です。
直接廃棄：家庭系全体の約43%（約105万トン）
- 原因：購入したものの使わずに賞味期限や消費期限が切れてしまった食品、未開封のまま捨てられる食品など。
食べ残し：家庭系全体の約43%（約105万トン）
- 原因：作りすぎによる食べ残し、好き嫌いによる食べ残しなど。
過剰除去：家庭系全体の約14%（約34万トン）
- 原因：野菜の皮を厚くむきすぎる、可食部分を過度に取り除くなど。
これらの原因を把握することで、日々の生活の中で何に気をつければフードロスを減らせるかが見えてきますね。例えば、買い物前に冷蔵庫の中身をしっかり確認する、食材を使い切る献立を考える、野菜の皮も調理に活用するなど、少しの工夫で家庭からのフードロスは確実に減らせるでしょう。
また、外食時の食べ残しも依然として大きな割合を占めています。消費者庁の調査（平成29年度）によると、外食時に食べ物を残した経験がある人は約55%にものぼり、特に宴会時（特に宿泊施設での宴会14.8%、結婚披露宴13.7%）での食べ残しが多いという報告もあります。食べきれる量を注文する、どうしても残ってしまった場合はお店に確認の上で持ち帰りを検討するなど、消費者側の意識改革も重要です。
「食品廃棄」と「フードロス」の違いを正しく理解する
「食品廃棄」と「フードロス」、これらの言葉は混同されがちですが、実は意味合いが少し異なります。この違いを理解することが、問題の本質を捉える上で重要になります。
「食品廃棄」とは、本来食べられるかどうかにかかわらず、食品として利用されずに廃棄されるもの全般を指します。これには、例えば魚の骨や野菜の芯、果物の皮といった調理くずや、初めから食用に適さない部分も含まれます。
一方、「フードロス」は、この「食品廃棄」の中でも、「本来はまだ食べられる状態であるにも関わらず捨てられてしまう食品」を指します。つまり、フードロスは食品廃棄物の一部であり、特に削減努力が求められる対象です。
それぞれの違いをまとめると以下のようになります。
| 項目 | 食品廃棄 | フードロス |
|---|---|---|
| 定義 | 食品として利用されずに廃棄されるもの全般 | 本来食べられるのに捨てられる食品 |
| 例 | 魚の骨、野菜の芯、卵の殻、賞味期限切れで腐敗した食品など | 売れ残り、食べ残し、作りすぎた料理、期限が近いという理由だけで捨てられる食品、規格外野菜など |
| 対象範囲 | より広い（不可食部も含む） | より狭い（可食部のみが対象） |
「フードロス」という概念に焦点を当てることで、削減すべき「もったいない」部分が明確になり、より効果的な対策を講じやすくなります。日本でも、このフードロス削減に向けて、官民一体となった様々な取り組みが進められています。
例えば、かつて問題視されていた食品業界の商慣習「3分の1ルール」（製造日から賞味期限までの期間を3等分し、最初の3分の1の期間内に小売店に納品するというもの）の見直しが進んでいます。納品期限を緩和することで、まだ十分に食べられる食品が店頭に並ぶ前に廃棄されるリスクを減らす動きが広がっています。
また、消費者庁などが推奨する「てまえどり」運動もその一つです。これは、スーパーマーケットやコンビニエンスストアで商品を選ぶ際に、棚の手前にある販売期限の近い商品から積極的に選ぶ行動を促すもので、これにより店舗での廃棄ロス削減に貢献できます。
私たち一人ひとりが、「フードロス」とは何かを正しく理解し、日々の生活の中で意識して行動することが、社会全体の大きな変化につながります。例えば、買い物前に冷蔵庫をチェックする習慣をつける、食材を使い切るレシピに挑戦する、外食時には食べ残しを持ち帰る（お店の許可を得て）など、小さな一歩から始めてみませんか。
フードロスが引き起こす環境への影響と社会的な課題
フードロスは、単に食べ物がもったいないというだけでなく、地球環境や私たちの社会全体に深刻な影響を及ぼしています。ここでは、フードロスが引き起こす環境負荷と社会的な課題について具体的に見ていきましょう。
まず、環境への影響です。
温室効果ガスの排出増加
- 廃棄された食品の多くは、収集後に焼却処理されます。その際、大量の二酸化炭素（CO2）が排出され、地球温暖化を促進します。
- また、焼却されずに埋め立てられた食品は、分解過程でメタンガスを発生させます。メタンガスはCO2の約25倍（100年間の地球温暖化係数）もの温室効果があるとされ、環境への負荷は非常に大きいです。世界のフードロスから排出される温室効果ガスは、全排出量の約8～10%を占めるとも言われています（FAO報告）。
貴重な資源の無駄遣い
- 食品を生産するには、広大な土地、大量の水、肥料、農薬、そして栽培や輸送、加工のためのエネルギーなど、多くの資源が投入されています。これらの資源が、食べられることなく捨てられることで全て無駄になってしまいます。
- 例えば、1kgのお米を生産するには約3,700リットルの水が、ハンバーガー1個（牛肉パティ100g）を作るのに約2,500リットルの水が必要と試算されています（バーチャルウォーターの考え方）。
廃棄物処理の負担増大
- 大量の食品廃棄物は、ごみ収集運搬や処理施設に大きな負担をかけます。処理にかかるコストやエネルギーも膨大で、最終的には税金などを通じて私たちの負担となっています。
- 焼却施設の維持管理や、埋め立て地の確保も大きな課題です。
次に、社会的な課題についてです。
食料安全保障への影響
- 日本の食料自給率は極めて低い水準にあります。農林水産省によると、令和4年度のカロリーベース食料自給率は38％、生産額ベースでも58％と、多くの食料を海外からの輸入に依存しているのが現状です。
- このような状況下で大量のフードロスを発生させることは、将来的な食料不足のリスクを高め、食料安全保障の観点からも大きな問題です。
経済的な損失
- 食べられるはずだった食品の価値はもちろん、生産・流通・加工・販売・廃棄にかかる費用もすべて無駄になります。農林水産省の試算では、日本のフードロスによる経済的損失は、年間で約2兆円にも上るとされています。これは、国の年間予算の約2%に相当する規模です。
倫理的な問題と不均衡
- 世界を見渡せば、約7億8300万人（2022年時点、国連報告）もの人々が飢えに苦しんでおり、5歳未満の子どもの約5人に1人が栄養不良という厳しい現実があります。
- その一方で、食料が豊かな国々では大量の食べ物が捨てられているという事実は、倫理的にも大きな問題をはらんでいます。
これらの地球規模の課題解決に向けて、国際社会全体でフードロス削減に取り組む動きが加速しています。例えば、国連の持続可能な開発目標（SDGs）では、ターゲット12.3に「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる」という目標が掲げられています。日本でも、「食品ロスの削減の推進に関する法律（食品ロス削減推進法）」が2019年に施行され、国、自治体、事業者、そして消費者が一体となってフードロス削減に取り組むための枠組みが整備されました。フードロスが環境や社会に与えるより詳細な問題点とその対策については、こちらの記事でさらに掘り下げていますので、ぜひご一読ください。
私たち一人ひとりにできることは決して小さくありません。日々の生活の中で、例えば以下のような行動を意識してみましょう。
- 買い物前に冷蔵庫や食品庫をチェックし、必要なものだけを購入する計画を立てる。
- 食材を長持ちさせる適切な保存方法を実践し、使い切る工夫をする。
- 外食時には食べきれる量を注文し、もし残してしまった場合はお店の許可を得て持ち帰る。
- 賞味期限と消費期限の違いを正しく理解し、期限が近い商品でもすぐに食べるなら積極的に選ぶ。
これらの小さな積み重ねが、フードロスという大きな問題の解決に繋がり、持続可能な社会の実現に貢献します。みんなで力を合わせ、この課題に取り組んでいきましょう。
フードロスの意味を深く知り、今日からできる簡単な対策とは
家庭でできる！フードロス削減のための具体的な取り組み
フードロス問題の解決には、私たち一人ひとりが家庭でできることから始めるのが一番の近道です。実は、日々のちょっとした意識と工夫で、家庭からのフードロスは大きく減らせるんですよ。
具体的に家庭で何から始めればいいのか、フードロス削減のヒントを紹介！家庭で簡単にできる対策とは？の記事も参考にしながら、今日からできることを見つけてみましょう。まずは、買い物に行く前に冷蔵庫や食品棚の中身をしっかりチェックする習慣をつけましょう。「何が残っていて、何が足りないのか」を把握することで、衝動買いや重複買いを防ぎ、無駄な食材を抱え込むリスクを減らせます。買い物リストを作るのも効果的です。
次に、購入した食材を無駄なく使い切るための調理の工夫です。食材を最後まで美味しく使い切るレシピをレパートリーに加えてみませんか？
- 野菜の皮や芯、茎も活用： 大根や人参の皮はきんぴらに、ブロッコリーの芯は薄切りにして炒め物やスープの具に。普段捨ててしまいがちな部分も、実は栄養豊富で美味しく食べられます。
- 余った食材でリメイク料理： 残り物のカレーをカレードリアやカレーうどんにアレンジしたり、少しずつ余った野菜をまとめてミネストローネやチャーハンの具材にするなど、アイデア次第で新しい一品が生まれます。
- 中途半端に残った食材を冷凍保存： 使い切れなかったネギや生姜は刻んで冷凍、パンは一枚ずつラップして冷凍すれば、日持ちさせつつ必要な時に使えます。
食材の鮮度を長持ちさせる適切な保存方法も、フードロス削減には欠かせません。例えば、葉物野菜は湿らせたキッチンペーパーで包んでからポリ袋に入れ冷蔵庫の野菜室で立てて保存する、キノコ類は水気を嫌うのでパックのままかキッチンペーパーで包んで保存するなど、食材に合った保存を心がけましょう。バナナやりんごなど、エチレンガスを多く発生する果物は、他の野菜や果物と一緒に保存すると熟成を早めてしまうので注意が必要です。
そして、意外と見落としがちなのが「賞味期限」と「消費期限」の違いの正しい理解です。「賞味期限」は、"美味しく食べられる期限"の目安であり、この期限を過ぎてもすぐに食べられなくなるわけではありません。見た目や臭いなどで個別に判断することが大切です（ただし、メーカーが推奨する期限内に消費するのが基本です）。一方、「消費期限」は、"安全に食べられる期限"を示しており、こちらは期限内に使い切る必要があります。これらの違いを理解し、期限が近いものから計画的に消費していくことが重要です。
これらの取り組みは、決して難しいものではありません。毎日の生活の中で少し意識するだけで、家庭からのフードロスは確実に減らせます。家族みんなで協力して、もったいないフードロスを削減し、環境にも家計にも優しい生活を目指しましょう。
買い物時の心がけと賢い食材保存方法でフードロスを減らす
フードロス削減は、実は買い物に出かける前から始まっています。計画的な買い物と、購入後の適切な食材保存が、家庭でのフードロスを減らすための重要な鍵となります。
まず、買い物前の準備段階で意識したいポイントです。
- 冷蔵庫・食品庫の在庫チェック： 何がどれくらい残っているかを確認し、不足しているものだけをリストアップします。スマートフォンのメモ機能や専用アプリを使うと便利です。
- 献立の計画： 1週間分とまではいかなくても、数日分の献立を大まかに考えておくと、必要な食材が明確になり、無駄な買い物を防げます。特売品に飛びつく前に、本当に使い切れるか考えましょう。
- 空腹時の買い物は避ける： お腹が空いていると、つい余計なものまで買いたくなってしまうことがあります。可能であれば、食後に買い物に行くのがおすすめです。
そして、お店での買い物中は「てまえどり」を実践してみましょう。これは、商品棚の手前にある商品（一般的に販売期限が近いもの）から積極的に選ぶ行動のことです。すぐに使う予定の食材であれば、てまえどりをすることで店舗での廃棄ロス削減に貢献できます。消費者庁も推奨している取り組みです。
また、必要な分だけ購入できるバラ売りや量り売りを積極的に利用するのも賢い選択です。家族の人数や食べる量に合わせて購入することで、使い切れずに捨ててしまうリスクを減らせます。最近では、フードロス問題を解決！おすすめ野菜通販の利点と選び方といった記事で紹介されているような、規格外野菜をお得に購入できるサービスも増えています。こうしたサービスを利用するのも一つの手です。
購入した食材を長持ちさせるための保存方法も、フードロス削減には不可欠です。以下に代表的な食材の保存ポイントをまとめました。
| 食品カテゴリー | 保存のポイント |
|---|---|
| 葉物野菜（ほうれん草、小松菜など） | 湿らせたキッチンペーパーで包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で立てて保存。根本に水分を含ませると長持ちしやすい。 |
| 根菜類（じゃがいも、玉ねぎなど） | 基本は冷暗所で常温保存。じゃがいもは光に当たると芽が出やすいので新聞紙で包むか、リンゴと一緒に保存すると芽が出にくい。玉ねぎはネットに入れて吊るすと長持ち。 |
| 果物 | 種類によって常温保存か冷蔵保存かを見極める。追熟が必要なものは常温で。カットしたものはラップをして冷蔵庫へ。エチレンガスを出すものは他のものと離す。 |
| 肉類・魚介類 | 購入後すぐに使わない場合は、1回分ずつ小分けにしてラップや保存袋で密閉し、冷凍保存。解凍は冷蔵庫でゆっくり行うのが品質を保つコツ。 |
| パン類 | 常温保存はカビが生えやすいので、数日中に食べきれない場合は1枚ずつラップして冷凍保存。食べる時は凍ったままトーストできる。 |
これらの適切な保存方法を実践することで、食材の鮮度をより長く保ち、うっかり腐らせてしまうといったフードロスを大幅に減らすことができます。
最後に、冷蔵庫の中を定期的に整理整頓することも忘れずに行いましょう。奥にしまい込んで存在を忘れてしまう食材がないように、「先入れ先出し」（古いものから手前に置き、先に使う）の原則を徹底することが大切です。中身が見える透明な容器を利用するのも効果的です。
これらの買い物時の心がけと保存の工夫を日々の生活に取り入れることで、家庭から出るフードロスを確実に減らし、環境負荷の低減と家計の節約にも繋げることができます。みんなで意識を高め、賢い食品管理を実践していきましょう。
飲食店での工夫と私たち消費者ができること
外食時にも、フードロスを減らすために飲食店側と私たち消費者の双方ができることはたくさんあります。楽しみながら、そして賢く食事をすることで、フードロス問題に貢献しましょう。
まず、飲食店側ではフードロス削減のために様々な工夫を凝らしています。
- ハーフサイズや小盛りメニューの提供： お客様が自分の食べきれる量を選べるように、通常サイズより量の少ないメニューを用意しているお店が増えています。
- 食べ残し持ち帰りサービスの推奨（ドギーバッグ対応）： 以前は衛生面などから敬遠されがちでしたが、最近では自己責任を前提に、食べ残した料理の持ち帰りを推奨する飲食店が増加しています。専用の持ち帰り容器を用意している場合もあります。
- 予約システムや需要予測の活用： 事前の予約を促すことで、来客数や注文内容をある程度把握し、食材の仕入れすぎや作りすぎを防いでいます。AIを活用した需要予測システムを導入する店舗も出てきています。
- コース料理の量調整やアラカルトの充実： お客様の要望に応じて料理の量を調整したり、好きなものを好きなだけ注文できるアラカルトメニューを充実させたりすることで、食べ残しを減らす努力をしています。
これらの飲食店の努力を最大限に活かすためには、私たち消費者の協力が不可欠です。外食時に意識したいポイントを以下に挙げます。
- 適量を注文する： 自分の食べられる量を把握し、注文しすぎないように心がけましょう。特に初めてのお店では、一度にたくさん頼まず、様子を見ながら追加注文するのが賢明です。
- 苦手な食材やアレルギーは事前に伝える： 注文時に苦手な食材やアレルギーがあることを伝えれば、それらを抜いてもらえたり、別の食材に変更してもらえたりする場合があります。
- 食べ残しそうなら早めに相談： どうしても食べきれなさそうな場合は、お店の方に持ち帰りが可能か早めに相談してみましょう。衛生上の理由から持ち帰りができない場合もあるので、お店の指示に従いましょう。
- 「3010（さんまるいちまる）運動」を意識する： 宴会などの際には、乾杯後の30分間とお開き前の10分間は自席で料理を楽しむ時間とし、食べ残しを減らす取り組みです。幹事の方は参加者に呼びかけてみましょう。
特に「食べ残しの持ち帰り」は、フードロス削減に直接的に貢献できる行動です。環境省も「mottECO（もってこ）」という愛称で食べ残し持ち帰りを推進しています。持ち帰りを行う際は、食中毒のリスクを避けるため、できるだけ早く食べきる、再加熱するなどの注意点を守りましょう。
さらに、フードロス削減に積極的に取り組んでいる飲食店を選ぶというのも、私たち消費者ができる応援の一つです。自治体によっては、フードロス削減に熱心な店舗を認証する制度を設けている場合があります。
- 例：東京都渋谷区「シブラン三ツ星レストラン」、文京区「ぶんきょう食べきり協力店」、中野区「なかの もったいない ぱくぱくパートナーズ」など。
お住まいの地域やよく訪れる場所で、こうした取り組みをしているお店を探してみるのも良いでしょう。
飲食店と消費者が互いに協力し合うことで、外食シーンにおけるフードロスは大幅に削減できます。美味しく、楽しく、そして環境にも配慮した食事を心がけ、社会全体のフードロス削減に貢献していきましょう。
企業や自治体が進める先進的なフードロス削減の取り組み事例
フードロス問題の解決に向けて、個人の努力だけでなく、企業や自治体も革新的なアイデアと技術を駆使して様々な取り組みを進めています。ここでは、その興味深い事例をいくつか紹介します。
まず、企業の先進的な取り組み事例です。
江崎グリコ株式会社
- サプライチェーン全体での効率化を図り、需要予測の精度向上や生産計画の最適化を進めています。
- 賞味期限の延長技術の開発や、フードバンクへの積極的な商品寄贈も行っています。
- 工場から出る食品残渣を堆肥化し、その堆肥で育てた農作物を社員食堂で利用する「食品リサイクル・ループ」にも取り組んでいます。
山崎製パン株式会社
- パンの製造過程でどうしても出てしまうパンの耳を有効活用した「ちょいパクラスク」や、バナナの加工時に出る切れ端を利用した「切れてるバナナパウンドケーキ」など、副産物をアップサイクルした商品を開発・販売しています。
株式会社セブン＆アイ・ホールディングス
- 「エシカルプロジェクト」として、セブン-イレブンなどで販売期限が迫った対象商品を購入すると、nanacoポイントを付与する取り組みを実施。消費者に販売期限の近い商品を選んでもらうインセンティブを提供しています。
- 野菜のバラ売りや少量パック、カット野菜の品揃えを充実させ、家庭での使い切りをサポートしています。
株式会社ファミリーマート
- 一部店舗で、排出される生ごみを収集し、リサイクル工場で液体肥料や飼料に再生するシステムを導入しています。
- 店舗で使用した廃食用油は100％リサイクルし、バイオディーゼル燃料や飼料などに再資源化しています。
これらの企業努力は、事業活動を通じてフードロス削減に貢献する素晴らしい事例と言えるでしょう。
次に、自治体によるユニークな取り組みを見てみましょう。
| 自治体名 | 主な取り組み内容 |
|---|---|
| 宮城県仙台市 | フードロス削減に関する情報発信ウェブサイト「モッタイナイキッチン仙台」を運営。家庭でできるレシピやイベント情報を発信。 |
| 長崎県壱岐市 | 飲食店での食べ残し削減を促す「食べてほしーる。」キャンペーンを実施。食べ残さなかった客にシールを配布し、特典を提供する。 |
| 埼玉県 | 県内で発生する未利用食品と、それを必要とする福祉施設などをマッチングする「埼玉県食品SMILEプロジェクト（フードバンク活動）」を推進。 |
| 兵庫県神戸市 | スーパーやコンビニと連携し、消費者に「てまえどり」を呼びかける啓発活動を積極的に展開。啓発ポップの提供などを行っている。 |
これらの自治体の取り組みは、地域の実情に合わせて住民や事業者と連携し、フードロス削減を推進している好例です。
近年特に注目を集めているのが、テクノロジーを活用したフードシェアリングサービスです。これらは、廃棄される可能性のある食品と、それを必要とする消費者を効率的につなぐプラットフォームを提供しています。
- TABETE（タベテ）： 飲食店や小売店で、閉店間際や予約キャンセルなどで余ってしまった食事や食品を、お得な価格でユーザーに提供するレスキューサービス。
- KURADASHI（クラダシ）： 賞味期限が近い、印字ミスがあるなどの理由で通常の流通ルートでは販売できない商品を、お得な価格で販売する社会貢献型ショッピングサイト。売上の一部は社会貢献活動へ寄付される。
こうしたサービスは、スマートフォンアプリなどを通じて手軽に利用でき、消費者が楽しみながらフードロス削減に貢献できる新しい形として広がりを見せています。賢く買い物をするための一つの選択肢として、フードロス削減に貢献できる安い通販サイトの特徴をまとめた記事なども参考になるでしょう。
また、異業種の技術を活用した取り組みとして、一般財団法人日本気象協会が、気象予測の技術を応用して食品の需要予測を行い、小売店の発注精度向上を支援し、フードロス削減に貢献している事例も非常に興味深いです。
このように、企業、自治体、そして新しいビジネスモデルが三位一体となって、社会全体でフードロス削減に取り組む動きはますます活発化しています。私たち消費者も、これらの取り組みに関心を持ち、利用できるものは積極的に活用していくことが、持続可能な社会の実現に向けた大きな力となります。みんなで力を合わせ、より良い未来を目指しましょう。
引用：食品ロスとフードロス - 意味の違いや使われ方 | NPO法人日本もったいない食品センター
フードロスとは何か？意味と定義を簡単に解説！毎日のおにぎり1個が地球を救う？：まとめ
この記事では、「フードロスとは何か」という基本的な意味や定義から、その現状、問題点、そして私たちにできる具体的な対策までを解説してきました。
- フードロスとは、本来まだ食べられるにも関わらず廃棄されてしまう食品のこと。
- 日本では年間約523万トン（令和3年度推計値）ものフードロスが発生しており、これは国民一人ひとりが毎日おにぎり約1個分を捨てている計算。
- 家庭から発生するフードロスが全体の約47%を占めており、主な原因は直接廃棄、食べ残し、過剰除去。
- 賞味期限と消費期限の違いを正しく理解し、期限が近いものから消費することが大切。
- 買い物前には必ず冷蔵庫や食品庫の中身を確認し、必要な分だけ計画的に購入する。
- 購入した食材は適切な方法で保存し、皮や芯まで無駄なく使い切るレシピを活用する。
- 外食時は食べきれる量を注文し、もし残してしまった場合はお店の許可を得て持ち帰ることを検討する。
- スーパーなどでは「てまえどり」を心がけ、販売期限の近い商品から選ぶことで店舗の廃棄ロス削減に貢献できる。
- フードバンクやフードシェアリングサービスといった、フードロス削減に繋がる仕組みを理解し、活用するのも有効な手段。
- 企業や自治体も、サプライチェーンの改善、アップサイクル商品の開発、啓発活動など、多岐にわたる取り組みを推進している。
食べ物を大切にするというシンプルな行動は、地球環境の保全、経済的なメリット、そして食料資源の有効活用といった、非常に多くのポジティブな影響をもたらします。皆さんも、この記事で紹介したヒントを参考に、日々の生活の中で「もったいない」を減らすための小さな一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。冷蔵庫の中身を見直す、食材の保存方法を少し工夫する、そんなちょっとした意識の変化が、大きな未来の変化へと繋がっていくはずです。一人ひとりの小さな行動が、地球を救う大きな力になることを信じて。最後までお読みいただき、ありがとうございました！
